【ショートショート】難攻不落⑥
「おい、誰が優しいだ。体術訓練で何度お前に吹っ飛ばされたことか」
「それはあんたが弱いからでしょ」
いつも通りの仏頂面に戻った同期が、いつも通りの口調で俺に向かって言った。それに、ピキリと青筋が立つのが分かる。
「はぁ?つーかなんだよさっきの口調と顔。キッショ」
「一応あれも一般市民だから。それに、あの手合いに穏便に帰ってもらうにはこれが一番と判断しただけよ」
いつも通りの、お高くとまったような口調と仕草。それにどこか安心したような気持になりながらも、同時に腹が立った。
「へーえ?それで俺を悪者にしたわけか」
「そもそもあんたが無視するなり振り払うなりすれば私が手出しする必要は無かったのよ。あ、それとも何?あのままあの女、お持ち帰りしたかったわけ?」
そのあんまりな言い草にこちらも「はあ?」と治安の悪い顔と声で同期に返す。何なんだこいつ、何に怒ってるんだよ。
「んなわけ」
「あんたがどこで誰とお楽しみしようが私には関係ないけどね、相手は選びなさいよね」
言い返そうとするも、それより先に同期が言った。ていうか、なんかこいつ、普段よりも口数多くないか?
「お前、何に怒ってるんだよ」





