
はぁ、はぁと息が切れる。それに、ああまだまだ訓練不足だな、走り込みを増やした方がいいかもしれないなと考えた。
少しずつ走るスピードを緩めていって、最後には壁に寄りかかる形になって足を止める。ふう、と息を吐いて、ずるずる地面へしゃがみこんだ。
あいつが今日、夜番明けだとたまたま聞いて。久しぶりに会えるかな、とか、夜番明けなら好物でも差し入れてやろうかな、とか。
浮ついた気持ちであいつを探したら、な...
考えるのが面倒になって、直接そうぶつければ同期が虚を突かれたような顔を作った。
こいつのこんな顔見るのは、なんだか久しぶりだ。普段の大人びた雰囲気が抜けて、同世代であることが分かるようになるこの表情。そもそも、隊が分かれてからは顔を合わせることも減ったんだったか。今更ながら、こいつとこうして話すのはいつぶりだろうと思った。
「……別に、怒ってるわけじゃ」
「いや、怒ってるだろ」
「……」
追求してみれ...
ほぼ反射で頭を下げた。
俺の動きに付いてこれなかった女が、振り払われる形になって地面に転がる。それを視界の端で捉えるのと同時に、下げた頭の上で空を切る音が聞こえた。
低い姿勢のまま、その攻撃を仕掛けてきたやつを見据えるべく振り返る。そこには、予想通り俺の良く知る同期の女が、蹴りの姿勢を保ったまま居た。
「おい、どういうつもりだ?」
さっき女に対して作ったそれよりも、ずっと低い声が出た。自分でそれに...
「うふふ、つれないのねえ。でも、そういうところも素敵よ?」
まるで暖簾に腕押しだ。無理やり振り払ってもいいが、それで怪我でもされたら加害者はこっちになる。ましてや女の言う通り、俺は兵士だ、下手すりゃ号外のネタである。
はあ、とまたため息を一つ。
「俺はお前みたいな軽い女は嫌いなんだ」
これでどっか行ってくれねえかなと、厳しい目つきで女を睨んだ。どうだ、夜番明けってこともあって中々迫力あると思うんだが...
「おい、誰が優しいだ。体術訓練で何度お前に吹っ飛ばされたことか」
「それはあんたが弱いからでしょ」
いつも通りの仏頂面に戻った同期が、いつも通りの口調で俺に向かって言った。それに、ピキリと青筋が立つのが分かる。
「はぁ?つーかなんだよさっきの口調と顔。キッショ」
「一応あれも一般市民だから。それに、あの手合いに穏便に帰ってもらうにはこれが一番と判断しただけよ」
いつも通りの、お高くとまったような口調と仕...