【ショートショート】難攻不落⑤
同期は俺の方には目もくれず、相変わらずの余所行きの顔のままで言った。そして、再び地面に転がっていたままだった女へ手を伸ばす。
女は、不服そうな顔を作って同期の手を取った。立ち上がってから、これ見よがしに服の裾をパンパンと叩く。
目線が並んだ女二人は、片方は相手を睨んで、片方は相手へ微笑んでいた。それに、どうしてかうすら寒いものを感じて思わず後退する。なんだあれ、戦場よりおっかない空気があそこだけ流れてないか。
「……助かったわよ」
「ええ、今後もどうかお気を付けください。軍は、私のように優しい人ばかりではありませんから」
女は、同期の言葉に悔しそうに顔を歪めて足早に街の裏通りに駆けて行った。
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