【ショートショート】難攻不落③
ほぼ反射で頭を下げた。
俺の動きに付いてこれなかった女が、振り払われる形になって地面に転がる。それを視界の端で捉えるのと同時に、下げた頭の上で空を切る音が聞こえた。
低い姿勢のまま、その攻撃を仕掛けてきたやつを見据えるべく振り返る。そこには、予想通り俺の良く知る同期の女が、蹴りの姿勢を保ったまま居た。
「おい、どういうつもりだ?」
さっき女に対して作ったそれよりも、ずっと低い声が出た。自分でそれに驚きながら、低い位置から同期を睨む。
「なに、絡まれていたみたいだったから助けに入っただけだよ」
言いつつ、同期が地面に転がったままだった女に向かって手を伸ばす。「大丈夫ですか、お嬢さん」なんて気障ったらしい台詞付きだ。
しかしながら、伸ばされた手は女によってパシリと払われた。それに少しだけ胸がすく。
「いきなり何すんのよ!!アンタのせいで転んじゃったじゃない!」
「乱暴な手段になってしまったことは、申し訳ありません。どうもうちの馬鹿があなたに絡んでいたようでしたので、引き剝がすにはこれしかないと思いまして」
……おい待て、こいつ、俺が女に絡んでいたとでも思ってんのか?っていうかうちの馬鹿って。
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