【ショートショート】難攻不落②
「うふふ、つれないのねえ。でも、そういうところも素敵よ?」
まるで暖簾に腕押しだ。無理やり振り払ってもいいが、それで怪我でもされたら加害者はこっちになる。ましてや女の言う通り、俺は兵士だ、下手すりゃ号外のネタである。
はあ、とまたため息を一つ。
「俺はお前みたいな軽い女は嫌いなんだ」
これでどっか行ってくれねえかなと、厳しい目つきで女を睨んだ。どうだ、夜番明けってこともあって中々迫力あると思うんだが。
しかし、女は「きゃっ、こわーい」なんて言って体をくねらせただけだった。なんなんだこいつ……。
意識せずとも顔が険しくなるのが分かる。そんなに俺は怖くないのか、確かに軍の中じゃまだまだ若造と呼ばれるような齢だけれども。
どうにか言ってこの女を引き剥がさねえと、と再び口を開く。それと同時に、背後から何よりも知った気配を感じた。
消しきれていない軍揃いの革靴の足音が近づいてくる。続けて、軍の中では珍しく清潔感を感じる石鹸の香りがふわりと香った。






