3分間小説:第7話『図書館』 前編

ある男は、ようやく探していた図書館を見つけました。その図書館には、無数の本が並べられており、それらの一冊一冊すべてに世界中の人の誕生から死までが書かれていました。
男は、自らの人生を顧みました。というのも、実は男が一人で生きていたこともあり、彼には子どもの頃からの記憶がありませんでした。その記憶を取り戻すため、彼は図書館を訪れました。検索カードに名前を書いて、司書に手渡します。そして、しばらくすると司書が一冊の本を持ってきて、彼に渡しました。自分の過去を知らないことが怖い。けれども、知ることも怖い。男は勇気を出して本を開きました。驚くことに、本は三十九ページから始まっていました。三十九ページ目までが、ごっそりと抜け落ちているのです。男は怒りながら司書に見せました。しかし、司書は理路整然と答えました。「あぁ、落丁か。誰かが切り取ったか、ですかねえ。たまにあるんですよ。でも、ここにあるのは世界で一冊だけの本ですから代わりの本はありませんよ」「落丁だって!?」男は司書を怒鳴りつけた。「それなら、もう過去はどうでもいい。未来はどうなっているんだ?」途中からページがとじられ開けられなくなっていた。





