夢か現か、そう考えてゆかりはため息をついた。
「どちらにせよ、何とかしないと食べるものもないのね」
夢だとしてもこれだけリアルな感触のある夢なんだからお腹がすいたら大変だろう。どちらに向かって歩こうか、そう思い、ゆかりは山と反対の方向を向いた。
「ここがどういう世界なのかはよくわからないけど、やっぱり港の方が栄えているはず」
実際その読みは当たっていた。目覚めた場所には一人もいなかったが、港の方へ向かへば向かうほど、家は増え、人の姿もちらほらと見え始めた。
しかし、ゆかりはそこでもまた違和感に気付いてしまう。
「なんか、服も家も随分古風じゃない?そういう設定の夢なの?」
使われている木材を見るに、家そのものは新しいのだろう。しかし、家の形や構造は古民家という印象を受けた。服も同様だ。
やがて、ゆかりは道行く人々の会話から違和感の正体を突き止めた。
「はぁん、なるほど」
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