なつかしいはなし
学校が終わって、家に帰る途中。げこう班のみんなとはもうとっくに分かれたあとで、わたしの家まではもう少し。そんな場所に、その道はあった。
近道にはなるけど、すごく急な道。でも、青くて小さくてかわいいお花や、吸うと甘いピンクのお花が咲いていて、春に歩くのがすごく楽しくてお気に入りの道。……ただ、この間は蛇が居てびっくりしちゃった。
あと、すごく景色がきれいなんだ。少し前までは山の上の方が白くなっていてきれいだったし、秋はあかくなっていてきれいだった。白いのは雪が積もっているからで、赤くなるのはコウヨウって言うんだって。こんなことを知ってるわたしって、少し大人なんじゃない?
草の上にランドセルを下ろして、中から水筒を出した。中の麦茶はすっかりぬるくなってしまっていたけれど、すごくおいしく感じた。
水筒を口から離して、ぼーっと遠くの山を見 る。もう赤くも白くもないけど、緑色と空の青の組み合わせがきれいだった。
「かえろ」
誰に言うでもなく呟いて、水筒をしまってランドセルをもう一度背負う。目線を地面から空に移して、また歩き出した。
きっと、家に帰ったらおばあちゃんがおやつを用意してくれているはずだから。




