丸一週間近く講義しか受ける気力がなかったsurvePです。
だめですねなかなか習慣化できずにいらいらしておりますw。そんな中でも今日は朝一からこの本ブログを書けて割と清々しい感じです。
それでは早速本日の書籍を紹介していきましょう!!
あのマーケティング戦略によってボロボロだったUSJをV字回復させた森岡毅著
「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 ー成功を引き寄せるマーケティング入門」です。
では目次をどうぞ
1.本書の目次
2.著者の紹介
3.本書の概要
4.当時のUSJの状態
5.USJ復活のポイント
6.感想
では早速いつものごとく目次から行きましょー
1.本書の目次
- USJの成功の秘密はマーケティングにあり
- 日本の殆どの企業はマーケティングができていない
- マーケティングの本質とは何か
- 「戦略」を学ぼう
- マーケティング・フレームワークを学ぼう
- マーケティングが日本を救う!
- 私はどうやってマーケターになったのか
- マーケターに向いている人、いない人
- キャリアはどうやってつくるのか?
2.著者の紹介
著者、森岡毅は神戸大学経営学部卒業後P&Gに入社。P&Gは世界でも有数の一般消費財メーカーである。ものを売るにはマーケティングやブランディングに力をいれており、「マーケティング」という学問自体、アメリカの資本主義経済の中で、自由競争が認められていたからこそ生き残るすべとして「売れる方法論」として体系化されたものである。それを第一線で実践しているのがP&Gである。ここで森岡毅は14年勤め、マーケティング理論を学び、数々のプロジェクトを実践し、成功してきたのである。のち 2010年からうUSJに入社し、マーケティングの視点からさまざまなアイディアを投入し、経営危機にあったUSJをわずか数年でV字回復させ、一時的には東京ディズニーランドの集客数も超え、集客数日本一のテーマパークになったのである。現在はマーケティング精鋭集団「株式会社刀」を設立、CEOとして活躍している。
3.本書の概要
本書は巻頭にも述べられているが高校生の娘にも理解できるように書いてあります。本書の目的は
・個人も会社もビジネスで成功するためのかぎである「マーケティング思考」を伝えること
・森岡毅が体得してきた「キャリア・アップの秘訣」を伝えることである。
以前紹介した「大学4年間のマーケティング見るだけノート」とはまた毛色の違った書籍となっております。見るだけノートは本書の3章~5章のようないわゆるマーケティングの基礎知識を体型的にまとめたものである。
本書はそういった教科書のようなものではなく、森岡毅自信が実戦経験者として上記の目的を達成するために書かれている書籍である。良いい方をすれば血の通ったマーケティング本である。
本書は自信が経験してきたUSJのマーケティング手法を中心にP&G時代などの具体例を中心に前半はマーケティング理論が書かれている。
後半は、自信を振り返って、ある意味人事のような視点でキャリアの作り方、自信がどうやって現在に至るのか、先人のアドバイスというやつを教えてくれます。
それでは本編の内容をすこーしだけ覗いてみるとしましょう!!
4.当時のUSJの状態
当時USJは2001年の開演の初年度は1100万人動員と華々しくスタートを切りましたが、翌年には700万人台と急降下し、2004年には事実上の経営破綻をしていました。
私であれば当時小学生低学年ということになります。確かに今思い返してみると経営破綻しているが素人目でもよくわかります。小学生低学年くらいの間に2度ほどUSJに行った記憶があります。当時のUSJの記憶は「怖い」でした。ハリウッド映画中心のアトラクションだったので、どれも年齢層が高く、自分のライドしたターミネータではボロボロに泣いていた記憶があります。この時点で私はもうUSJに行かないと思ってました。
私個人の体験からでも親子連れで行くのが少し難しいのが当時のUSJだったことがわかります。
後に社長交代し、徹底的なコストカットをし経営破綻自体は2010年頃、つまり森岡毅が入社するまでには脱していました。しかし、年間集客人数は730万人と伸び悩んでいたのが現状でした。
森岡毅が入社してから、なぜ、集客と売上が伸びないか幹部社員のヒアリングから2つの仮説を立てました
1.開業翌年に起こった不祥事のせいでブランドイメージが地に落ちたこと
2.開業年度当時の「映画のテーマパーク」というブランド軸がぶれていたこと
ではまず1つ目から、
2002年に食費員賞味期限偽装、工事ミスで工業用水がパーク内の一部飲水器につながっていたなどの不祥事が連日報道されました。しかし、森岡毅は「経験値」から不祥事によるブランドイメージのせいでないと思いました。「人の噂も七十五日」10年近く前の不祥事を気にしているのならば730万人もお客さんは来ないだろう、と考えました。考察をしたあと、数字を見てみたところ、不祥事が起きたから集客が減ったのではないということがわかりました。つまり、不祥事と集客人数の因果関係はデータから見られなかったのです。
では2つ目はどうか。
「映画だけ」のテーマパークでこだわっているからこそ、もうお客さんは飽きてしまったのではないか、また、東京ディズニーランドと差別化ができていないのではないかという原因でお客さんが減っているのではないかと考えられていた。しかし、本当にそうだったか、何かのエンターテインメントを楽しむにあたって、テーマパークは全体の1割でしかないこと。残りは9割は映画など他のエンタメであることがデータとして出ているのである。加えて、東京ディズニーランドと差別化できていないと言っていますが、そもそも物理的距離、東京から大阪に行くには3万円かかります。つまり、競合なりえないのです。
つまり「2002年の不祥事」も「映画にこだわって東京ディズニーランドと差別化」も原因ではなかったのです。そもそもその焦点が間違っていたことになります。
森岡毅はマーケターとして最初にしたことは「どう戦うか」、「どこで戦うか」を正しく見極めることから行ったのです。そして正しい方向に会社を導きました。
5.USJ復活のポイント
結論から言うとUSJをV字回復させるためにUSJを変えたのは消費者視点(Consumer Driven)という価値観を仕組みにUSJを変えたことです。これこそがV字回復の最大の原動力です。
そんなの当たり前じゃないかと思うかも知れません。自分もしょせん社会を経験したことがないので現場を知りません。しかし、想像だけでも容易いでしょう。企業でエンタメでも製品でもサービスでも作っているのはその業界のプロです。プロの玄人目線で「こうしたら良いだろう」、「オモシロイ」、「使いやすい」と考えて開発を進めています。加えて日本人の職人気質がさらに製品、サービスを一般の価値観の外れたものを作ってしまいます。なぜなら、日本が成功したのは良いものを作って売ることをしてきて成り上がってきた国とう背景があります。これでは一般の価値観、「感動の水準」が消費者から離れていきます。そうなると、お客さんが本当のほしい、本当に喜ぶものは作れません。
また、何かを作るうえで、様々な部門の思惑、個人の思惑が入り混じって玉虫色の完成品ができあがります。本書で挙げられているのは「カレーがいい」という人と「すき焼きがいい」という人がいて、落とし所として「カレーすき焼きを作ろう」となっているのです。これではお客さんにとって喜ぶものでは到底ありません。これと同じことが会社でも起きています。そして、その中途半端な落としどころはだれも求めていません。様々なしがらみがあり、いつの間にか消費者視点が抜けてしまうのです。ここを説得し、正しい道に導いていったのが森岡毅です。そこで具体的に行った施策は
1.ターゲット客層の幅
「映画だけのパーク」→小さい関西市場を更に小さくしている→「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」→最大の弱点「低年齢の子供連れ家族の客層」→ファミリーエリアを投入→さらに東京や海外からの集客のためにハリーポッター(魅力的なえんため)
2.TVCMの質
来場する本質的な理由を捉えるプロモーション活動によりブランドイメージを強固にして行く仕掛けが必要
→来場意向調査で従来の数倍の強さを発揮するTVCMを開発→「世界最高をお届けしたい」というブランドキャンペーンを立ち上げ。
3.チケット価格の値上げ
世界基準では日本のチケット価格は安すぎる。(5800円)世界では倍近く取れる。しかし価格の弾力性、つまり、1%の値上げに対して何%の売上が減少するか反応度を分析する必要がある。一流のマーケーター、実戦経験をつんできたマーケターならば価格を上げながらも個数を伸ばす必要があるのである。これを森岡毅はその戦略、戦術を定め、その上のアイディアによって伸ばし続けたのである。
を行いました。すると2010年からの集客人数は右肩上がりを達成したのです。
6.感想
マーケティングの基本の書籍2冊目を読んでこんなにも違うのかと感じました。本書では実際に森岡毅さんが成してきたからこその力強さが現れており、とても説得力のある本でした。マーケティングの知識の量としてはマーケティングの基本書としては少ないと思います。しかし、そもそもどのようにマーケティング技術を使っているのか、何が重要なのかが伝わるのは圧倒的にこの書籍です。マーケティングを習っている、基礎知識がある人ならちょっと物足りないかも知れませんがマーケティングの重要な考え方を教えてくれます。
自分はこの書籍のような体験ベースの書籍はあまり好きではないのですが、森岡毅さんは経済学部でありながら数学がとても好きで、とてもやり込んでいらっしゃいます。そして随所にデータを見て判断されています。だからこそ信頼をおいて見ていました。そこに、データプラス、自分の実践における経験を積むことで、なにか引っかかったり、ポイントが見えてくるものだということも理解できました。
ではまた次回お会いしましょう!!
