鳥居の向こう

見上げればそこには背丈を悠々と越えるかのような大きな鳥居が聳え立っていた。
それはいつもと同じような光景に見えたものの、どこか違和感を感じさせる空間であった。
「ここは…どこなんだろう」
飲み会に連れ去られ、捕まっていたために終電を逃して、ふらふらと彷徨い歩いていたところの帰り道。
近道をして鳥居を通り過ぎたらここにいた。
何も変わらない景色に見えるけど、
こちらを見つめる視線が妙に痛々しく感じた。
フラフラと歩いて行こうとすると、
不意に腕をがしりと強く掴まれる。
「え?」
俺が声を漏らすと、そこには"何か"が立っていた。人ではない、なにか。
「それ以上行っちゃいけねえよ」
それはぐい、と僕の腕を強く引くとそのまま鳥居の方へと放り投げるように振り払った。
「ここはあんたみたいな人間がいちゃあいけない場所だ」
影はそういうとふ、と姿を消した。
周囲の何かが、彼のいた方をじろりと、ただ、見つめていた。
「ここはあんたみたいな生者がくる世界じゃねえっつうの」
黒い何かはそう言ってふ、と消えた。
鳥居をくぐるときはご注意を。
時にどこに繋がっているか分からないのですからーー。




