短編小説『心の中』 第2話

nishidamiyako0120nishidamiyako01202022年3月26日

僕の本当の性格はというと、だらしなく、嫉妬深く、自己中心的だった。友達想いなんかではなく、僕の言うことを聞いてくれない人間なんて「死んでしまえばいい」と思っていたほどだ。でも「神童」のイメージを崩さないために「真面目でやさしい、いい子」を演じていただけなのである。

 

正直「神童」を演じるのはつらかった。でも、今更やめるわけにもいかない。何よりも、母の期待を裏切るわけにはいかなかった。「ハジメは、私の自慢の息子よ」母は、ことあるごとに僕にそう言った。うれしかった。でも同時に、母の僕に対する期待と愛情を、とても重く感じた。

 

年齢が上がるにつれて、神童であることに限界を感じ始めていた僕は、どうしたらよいものかと思案して、思い切った行動に出た。

 

「僕は文学の道に進みたい。東京に出たい」

そう言うと。両親は驚いたようだった。しかし、今まで『才能がある』と僕に言い続けてきた両親が、今更それを否定することはできなかったのか、あるいは本当に僕に才能があると信じていたのか。結局、両親は僕の言葉を信じて、東京に行くことを許してくれた。本当のことを言うと、すべて言い訳に過ぎなかった。

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