5分間小説『冷静な人』 第6話

わが子のようにかわいがっていたハム助の死に、サヤカはまぶたがはれるほど涙を流した。その肩を、コウジは横からそっと支えてくれていたが、瞳は乾いたままのようだ。
「ハム助は、死ぬ直前まで僕らを楽しませてくれたんだ。でも、君がずっと泣いていたら、ハム助も天国で悲しむよ」
こんな時も、コウジは冷静だ、でも、その冷静さは決して「冷たい」ものではなく、自分を落ち着かせるための「温かい」ものであることに、サヤカは気づいていた。
「ねえ、このままだと、ハム助が可哀そう……。お庭に埋めて、見送ってあげましょう」
しかし、そんなサヤカの言葉を聞いて、コウジは眉間にかすかなシワを寄せた。コウジが表情を崩すなんて、珍しいことだ。どうしたんだろうと、サヤカは思わず、コウジの眉間を見つめた。「庭に埋めるなんて……。そんなこと、僕には耐えられない」「耐えられない」という感情的な言葉をコウジが口にするのは、サヤカにとって少し意外だった。そして、なぜ庭に埋葬することが「耐えられない」のか。サヤカには分からなかったが、コウジの言葉を聞いて納得した。




