5分間小説『冷静な人』 第4話

nishidamiyako0120nishidamiyako01202022年3月21日

決して冷たいわけではないが、かつてコウジのことを「冷たい」と言っていた人の気持ちが少し分かる気がした。コウジの言葉は、あまりにも冷静すぎて、たまにコウジの人となりが分からなくなることがあるのだ。それでも、サヤカはコウジのことを変わらず愛していた。サヤカもコウジに愛されている、という自覚があった。「人となりが分からない」なんてことを不満に思ったらバチが当たる。自分が分かる努力をすればいいのだ。――わたしは幸せ。これで、子どもを授かることができれば、もうそれ以上の幸せはない。サヤカは、そう思っていた。しかし、子どもを授かることはなかった。――コウジが、私を愛してくれているのはたしかだ。でも、生まれてきた子どもを、私と同様に愛してくれるかしら。サヤカには、そんな一抹の不安もあった。もしかしたら、そんな不安な気持ちがあるから、子どもを授からないのだろうか。そんなバカげた考えが頭に浮かんでしまう。ある時、サヤカはコウジに提案した。「ねえ、ハムスターとか小鳥みたいな、小さなペットを飼ってみない?二人だけの生活も楽しいけれど、ペットがいたら、もっと楽しくなる気がするの」

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