3分間小説:第5話『嘘』 後編

「こ、殺しただと!?お前は凶悪犯じゃないか!」
スピード違反くらいの軽いものならともかく、無免許運転、窃盗、銃刀法違反、殺人まで犯している。新人の警官は冷や汗を垂らしながら尋ねた。こんなやつ、自分一人の手に負えない。そう考えた警官は、近くをパトロールしている上司に連絡を取った。
「私の手には負えない人に遭遇しました。頼むから来てください」
声の震えを抑えながら、新人警官は上司を呼んだ。だが、犯人の目の前でオドオドするわけにもいかない。
「それで。お前が殺したという女の人は……車の持ち主はどうしたんだ?」
「それなら安心してくれ。ちゃんとトランクに入れてあるから。今から捨てに行くところだったんだよ」
何も安心できるはずがない。自分一人でトランクを開けることは避けたい。新人警官は、上司の到着を待った。そして、上司が来た時、新人警官は状況説明をした。上司が調べると、拳銃も遺体もない。免許や車検証はある。まるで新人警官が嘘を吐いたようだ。男はこう言った。
「あの白バイ警官、嘘つきですよね。もしかして彼、この私がスピード違反しただなんて言いませんでしたか?」




