3分間小説:第3話『騙す』

父親を裏切り、騙し、死に追いやった父親の元部下に、残された子どもは食ってかかった。
「俺はお前を許さない!父と同じように騙して、必ず後悔させてやる!」
それからのち。男は、自分の結婚式の時にあの時の子どもがいることに気づいた。次に、社長就任の時は、もう『子ども』と言い切れない年齢の奴がじっとこちらをうかがっていた。まだ犯人を狙っているらしい。それから何度も、あの時の『子ども』を見かけるようになっていた。父親を奪われた彼は立派に成長して大人になり、結婚をした。その時、彼は妹と話した。
「お兄ちゃん。復習者ごっこ、まだ続けているの?」
「あぁ、一応ね。あいつの人生でイベントがあるときは、あいつの気づくところから見ているよ」
「気持ち悪い。『騙す』とか大きなことを言って、結局何もしてないんでしょう?」
「当たり前だろ。あいつのためなんかに犯罪者になれるか。でも、じっと見ることに意味があるんだ」
「どういうこと?」
「あいつ、騙されることをおそれて誰も信じられず、家庭が崩壊したんだよ。おまけに会社でも孤独で、精神的にも危ないらしいよ。あとさ、騙すって言っておいて騙さないのも、騙したことになるんじゃないのか?」