3分間小説:第2話『真実の鏡』

nishidamiyako0120nishidamiyako01202022年3月9日


「鏡よ、鏡」

その鏡は、真実だけを告げる魔法の鏡だった。

その鏡の持ち主である女性は、何度も鏡問い続ける。

「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」

『あなたさまでございます』

「鏡よ、鏡。世界で一番賢いのは誰?」

『あなたさまでございます』

「鏡よ、鏡。世界で一番愛されているのは誰?」

『あなたさまでございます』

「鏡よ、鏡。世界で一番心が美しいのは誰?」

『あなたさまでございます』

 

五年後。いつも通りのやり取りが交わされる。以前と比べると、女性は衰えた風貌になっていた。だが、鏡は真実しか口にしない。

「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」

『もちろん、あなたさまでございます』

「鏡よ、鏡。世界で一番優しいのは誰?」

『それも、あなたさまでございます』

「じゃあ、世界で一番歌が上手いのは誰?」

『それもあなたさまでございます』

何度も尋ねるが、答えはすべて同じだった。

「あなたって、自分がどれだけ残酷なことを言っているか分からないの?」

鏡は答えない。女性は最後に質問を投げた。

「…そう。鏡よ、鏡。世界で一番寂しいのは誰?」

『あなたさまでございます』

「そうよね。だって、この世界には誰もいないのだから」

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