皮質(3)
通知オフってどうやるんだっけ」
操作が憚られるほど、スマートフォンの通知は止まず私は迷惑な反面
にやついていた。
ほわほわを入手してからまったく見向きもされなかった私のアカウントの
フォロワーは9万人を超え
なにか発言すれば、何万何千というグッドボタンにコメントまで貰えて
少なからず誰かに影響力を与えていることに、優越感を覚える。
わたし一人くらいいなくても社会は回る代表のような私が
まさかこんなことになるなんて。
ある日の通勤途中、ヒールで闊歩するキャリア風の絵に描いたような
美女の肩に止まっているひよこ色のほわほわが目につく。
「なんだあれは」
何も持たない人代表のような私はそのほわほわが無償に欲しくなり、
すれ違いざま、奪った。
ほわほわをSNSに投稿してみたところ、黄色のほわほわが見えると
幸せになれるという噂が瞬く間に広まり
さらに「見える人」と「見えない人」がいることが分かった。
「見える人」の共通点についても話題になり
性別、年齢、居住区、血液型、病歴、好き嫌いなど思いつく限りの共通点をみな
探していたけれど
そのうち飽きたようでコメントの勢いはなって
そのうちひよこ色のほわほわはどこかに消えてしまった。

