皮質(2)
ついにこの技を使う日がきたのか。
男が出て行ったことは鍵をかける音とダクトテープを巻かれた目元から
微かに漏れる光で確認できた。
僕は結束バンド、またの名をインシュロックで後ろ手に縛られて身動きが取れなかった。
でも、きっと上手くいく。そんな気がする。
なぜなら僕には無数の味方がいるような気持ちがしていたから。
こいつらに気づいたのは、いつものようにソファに寝そべって動画サイトをぼけっと観ていた時で水色の粒々。
形状のせいか、恐怖感はなくて僕はこいつらのことを「シェイド」と
呼ぶことにした。
シェイドは形を変えながら漂っているだけで、僕にしか見えないらしい。
お互いの家に行き来するような友達が一人もいなかったし
母の帰宅はいつも20時を過ぎていたので
いくら小6とは言え、僕も寂しかったようだ。
シェイドは何もしてくれなかったけれど、とにかく近くにいてくれた。
動画で観たとおりにやればいい。
渾身の力で腕を突っ張ると、結束バンドはぶちっと弾けるように解けたので急いで目元のダクトテープを剥がした。
その時もシェイドは漂っているだけで、
抜けてしまった眉毛にもやはり無関心だった。



