皮質(1)

隣で誰か眠っている。そんな気配を感じ、目を覚ました。
瞼を開けて誰もいないことを確認してもう一度眠りにつこうとした時、
狭まる視界に中に黒い塊が見えたのだ。
気のせいではなかった。
何か、隣に何か横たわっている。
私はすぐさまベッドから出たかったがその隣にいる黒い塊に触れるのが
恐ろしかったので、足元のほうからなるべく黒い塊に触れないよう
ベッドから這い出た。
黒い塊は私が一人で使うセミダブルのベッドの左半分を占拠していて
微動だにしない。
これは生物なのか、呼吸するように表面は波打ち、たぶん触れたら
ふんわりしているのではないかと想像してしまうような膨らみと質感を携えていた。
折角の休みでゆっくり眠っていたかったのに、この得体のしれない塊はなんだ。
怒りを覚えるのと同時にこのまま自分のベッドに居座られたら、という不安も沸き上がり、少しの間呆然となる。
幻覚ではないという証拠を残すため、スマートフォンを探したが
どうやら布団の中にあるようだった。
しかも、黒い塊の下になっているのかもしれない。
布団を引き剥がしてみたがスマートフォンが見当たらないのだ。
「スマートフォンは困るってば」
私は意を決した。



