オレとウサギ
がつけばオレは森の中にいた。
ついさっきまで何をしていたのか、どこに居たのか、記憶が曖昧ではっきりしない。
けれど、見たことのない植物に、初めて食べる実や果実。
ここはオレが知っている世界ではないようだ。
言うならば、最近よく聞く異世界召喚、または異世界転移だろうか。
どうしてオレがこんなことになったのか、そんな事言っていても仕方がない。
「腹減ったなぁ」
仕方がなくオレは森を彷徨うことにした。
しばらく行くと、ワァワァガヤガヤと騒がしい小競り合いが聞こえてくる。
一体何事かと木陰から覗いてみると、そこにはウサギそっくりな姿をした生き物が、2つの派閥で争っているらしい。
「オレ達の森を返せー!」
「森から出ていけー!」
「うるさーい!弱者はひれ伏せー!」
「恵んでもらえるだけありがたいと思えー!」
痩せ細ったウサギ達が劣勢だ。
オレは豊かに肥え太ったウサギ達の首をギュッと掴むと、そのままパクリと口に入れる。
驚くウサギ達を尻目にパクパクと口に放り込んでいくと、形勢は逆転。
痩せ細ったウサギ達は大喜びで、オレを英雄と讃え歓待した。
この世界のウサギはオオカミを見たことがないらしい。
しばらくは空腹と無縁でいられそうだ。




