オレとウサギ

ささきささき2022年3月5日

がつけばオレは森の中にいた。

ついさっきまで何をしていたのか、どこに居たのか、記憶が曖昧ではっきりしない。


けれど、見たことのない植物に、初めて食べる実や果実。


ここはオレが知っている世界ではないようだ。

言うならば、最近よく聞く異世界召喚、または異世界転移だろうか。


どうしてオレがこんなことになったのか、そんな事言っていても仕方がない。


「腹減ったなぁ」


仕方がなくオレは森を彷徨うことにした。





しばらく行くと、ワァワァガヤガヤと騒がしい小競り合いが聞こえてくる。

一体何事かと木陰から覗いてみると、そこにはウサギそっくりな姿をした生き物が、2つの派閥で争っているらしい。


「オレ達の森を返せー!」

「森から出ていけー!」


「うるさーい!弱者はひれ伏せー!」

「恵んでもらえるだけありがたいと思えー!」


痩せ細ったウサギ達が劣勢だ。

オレは豊かに肥え太ったウサギ達の首をギュッと掴むと、そのままパクリと口に入れる。


驚くウサギ達を尻目にパクパクと口に放り込んでいくと、形勢は逆転。

痩せ細ったウサギ達は大喜びで、オレを英雄と讃え歓待した。



この世界のウサギはオオカミを見たことがないらしい。


しばらくは空腹と無縁でいられそうだ。


ささき
ささき