5分間小説『冷静な人』 第5話

コウジは、一瞬だけ困ったような表情になったが、すぐに笑顔でうなずいてくれた。二人は、さっそくペットショップでハムスターを買い「ハム助」と名付けて買い始めた。
悪い予感に反して、コウジはハム助をかわいがった。こまめにゲージの中を掃除し、ハム助がヒマワリの種を食べる姿をいとおしそうに見つめ、スマホで撮影し、成長する姿を記録した。その姿は、まさに、愛する子どもに接するときのようでもあり、サヤカはしだいに、かつて感じていたコウジへの不安を忘れていった。
ハム助を飼い始めてから一年経った頃。突然不幸が訪れた。
日曜日の朝、起きてみると、ハム助がゲージの中で動かなくなっていたのだ。すぐにコウジを起こし、状況を伝える。コウジは呆然として、固くなったハム助を見ている。ハム助が死んでいるのは明らかだ。
ハムスターの寿命は、二年くらいと聞いていた。決して長い寿命ではないが、まだ飼い始めて一年だし、昨日まで元気にゲージの中で動き回っていたから、こんなに突然死んでしまうなんて考えられない。





